生命保険の税金は「相続税・所得税・贈与税」が絡み、契約形態によって課税が変わるため非常に複雑です。
「どの種類の税金がかかる?」
「損をしない受け取り方は?」
税金に馴染みがなければ、このような疑問が浮かぶ人は少なくありません。
しかし、生命保険と税金の関係を正しく理解すれば 非課税枠の活用や一時所得の圧縮、控除による節税など、多くのメリットが得られます。
この記事では、尼崎市の独立系FPが「死亡保険金・満期保険金・学資保険・保険料控除」など、税金制度の仕組みを初心者にもわかりやすく整理して解説します。
- 生命保険で注意すべき税金の種類がわかる
- 損をしない受け取り方を選べるようになる
- 保険料の支払時と保険金の受取時で節税方法がわかる
生命保険と税金の関係は、保険に加入する前に知っておくのがベストです。しかし、すでに加入している保険で税制面の不安が残る契約形態なら、少しでも損することを避けるため、今ここで税金の確認しておいてください。
生命保険の税金制度はなぜ複雑に感じるのか

生命保険の税制が難しく感じられる最大の理由は、税金の種類ではなく「契約者・被保険者・受取人の関係」で課税される税金がまったく変わる点にあります。
生命保険金は、受け取り方によって、以下に紹介するいずれかの税金が課せられます。
- 相続税
- 所得税、住民税
- 贈与税
加入している生命保険が同じ保険商品であっても、誰が保険料を負担し、誰に保険金が支払われるかによって税金の種類が180度変わることも少なくありません。そのため、税制を理解せずに生命保険を受け取ると、次のようなケースに陥る可能性があるため、注意しておく必要があります。
「本来払わずに済んだ税金まで負担が発生した」
「節税できたはずの優遇制度を使い損ねた」
生命保険を受け取っても、税制面で不利となり後悔につながるリスクがあります。裏を返せば、仕組みさえ知っておけば、生命保険は相続や家計面で非常に強い味方になると言えます。
いま、生命保険に加入されている方は、ぜひ契約形態を確認し、契約者・被保険者・受取人の関係を確認してみてください。
【受取時】税金ルールの基本|相続・所得・贈与の判断軸
生命保険を受け取るときは、相続税・所得税・贈与税のいずれかが課税されます。難しく感じられがちですが、税金ルールを知っていれば、判断軸ができるため悩むことも少なくなります。
税金ルールは、契約形態によって税金の種類が変わる生命保険だからこそ、注意しておきたいポイントです。また、受取時に活用できる税制優遇措置も紹介するので、参考にしてみてください。
相続税・所得税・贈与税の判断基準を押さえる
税金の種類は非常に多いものの、生命保険を受け取るときに関係する税金はたったの3種類です。
その判断基準は明確で、次のルールに当てはめるだけで整理できます。
保険金の種類 | 契約形態のパターン | 税金の種類 | ||
|---|---|---|---|---|
| 契約者 | 被保険者 | 受取人 | ||
死亡保険 | A | A | B (法定相続人) | 相続税 |
| A | B | A | 所得税 | |
| A | B | C | 贈与税 | |
満期保険金 | A | A | A | 所得税 または 源泉分離課税 |
| A | B | A | ||
| 契約者≠受取人 | 贈与税 | |||
ポイントは、「誰が保険料を払って、誰が受け取ったか」です。保険料を積立金に変えてイメージをすると、相続税と所得税、相続税のどれに当たるかが、判断しやすくなります。
対象となる税金の違いがわかれば、迷いの9割は解消できることでしょう。死亡保険金は相続税が基本となり、満期保険金は所得税になるケースが大半です。
契約者や受取人を安易に名義変更を行うと、贈与税の対象となり税負担が大きくなる可能性もあるため注意しておいてください。
死亡保険金は相続税+非課税枠の活用が重要

死亡保険金を法定相続人が受け取る場合、原則として相続税の対象です。法定相続人が受け取る生命保険には、以下の非課税枠が存在します。
たとえば、相続人が3人であれば「500万円 × 3人=1,500万円」までが非課税です。預貯金には存在しない優遇措置のため、死亡保険金は相続対策で非常に有効な手段と言われています。
非課税枠を超えても、超過分のみが相続税の対象となるため、受取人を分けたり保険金額を調整したりするだけ、税負担を軽減できるケースがあるからです。相続で揉めやすいのは「遺産の分け方」ですが、死亡保険金は受取人固有の財産になるため、トラブル回避の観点でも活用価値が高い制度と考えられます。
満期保険金や学資保険は一時所得の対象
満期保険金や学資保険の受取時には、所得税と住民税がかかります。課税区分は一時所得です。
たとえば、契約者と同一人物が保険料260万円を支払い、満期受取金を300万円受け取った場合、以下のような計算で課税所得が決まります。
満期で大きな金額を受け取るからといって必ず税金が重くなるわけではないため、この仕組みを理解して保険金額を決めると安心です。なお、途中で解約した場合に受け取る解約返戻金も、同じように一時所得の扱いとなります。
契約形態によっては贈与税になるケースもある
贈与税が発生する代表例は「保険料を払った人(契約者)」と「受取人」が異なるケースです。
相続税や所得税と比較すると、贈与税の税率は高く、知らないまま受け取ると後悔する可能性が大きい税区分です。とくに、満期保険金や解約返戻金の受け取りなど、貯蓄型の生命保険には贈与税が絡みやすく、名義変更のタイミング次第で課税リスクが発生します。
本来は節税目的で加入したはずが、手続きの誤りで逆に税負担が増える例も少なくないため注意が必要です。
【支払時】生命保険料控除のメリット

生命保険に加入すると、保険料の支払いが発生します。しかし、支払った保険料は「生命保険料控除」として節税に役立てることができます。
生命保険に加入している人は多いものの、若年層ほど生命保険料控除を活用していない傾向があり、税制面で損をしていると言わざるをえません。年末調整や確定申告は面倒に感じるかもしれませんが、生命保険料控除を活用したメリットを知り、ぜひ節税に役立ててください。
生命保険料控除の活用で税金が軽減される理由
生命保険料控除の利用で所得税や住民税が節税できるのは、所得控除の仕組みにより、税金の対象となる収入(課税所得)の金額が低くなるためです。
たとえば、所得税率10%・住民税率10%の人が4万円の所得控除を受ける場合、約8,000円の節税になります。証明書を提出するだけで負担が減るため、毎年必ずチェックしておくべき制度だと言えるでしょう。
日本の税率は超累進課税が採用されており、年収が高いほど税率はアップします。生命保険料控除を含む所得控除を活用することで、適用される税率が下がるとさらに節税につながる可能性が高くなります。

生命保険料控除の仕組みと3つの区分
生命保険料控除は、毎年1月1日から12月31日までの間に支払っている保険料の一部を所得から差し引き、税金の負担を軽減できる制度です。
契約した時期によって新制度と旧制度に分かれ、3つの区分に分けて保険料の控除額を計算します。
| 旧制度 (※1) | 新制度 (※2) | 控除に該当する保険料 |
|---|---|---|
一般生命保険 | 一般生命保険料控除 | 生存・死亡保険金に対する保険料 |
| 介護医療保険料控除 | 入通院や介護など給付金に対する保険料 | |
| 個人年金保険料控除 | 税制適格特約が付加された個人年金保険の保険料 | |
(※1) 2011(平成23)年12月31日以前の契約
(※2) 2012(平成24)年1月1日以降の契約
また、利用できる保険料控除には、新制度・旧制度ごとに、保険料控除の種類それぞれに限度額が定められています。

生命保険料控除は、所得税・住民税それぞれで節税効果を発揮します。年末調整や確定申告で、控除証明書を添付するだけで利用できる所得控除です。保障が目的の保険でも、控除制度を理解して活用すれば、家計にプラスの働きを生むことができます。
2026(令和8)年の一般生命保険料控除については、23歳未満の扶養親族がいると上限額が6万円まで引き上げられます。詳しくは以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

生命保険の税金制度で多い誤解と注意点

生命保険の税金制度で、よくある誤解と注意点をご紹介します。
思い込みは税金で損してしまうため、ここで確認しておくことをおすすめします。
「誰が受け取っても同じ税金」は誤り
生命保険の税金に関する誤解の中でもとくに多いのが、「保険金は誰が受け取っても税金は同じ」という思い込みです。
現実には、受取人・契約者・被保険者の組み合わせで課税区分がまったく異なり、場合によっては最も税率の高い贈与税が適用される場合もあります。これは生命保険の手続きで特に多い「後悔例」であり、受け取ったあとに発覚しても取り返しがつきません。
生命保険会社では、よくあるトラブルとして注意喚起しているものの、贈与税に該当してしまう契約が今もまだ多くあるのが実態です。
名義変更や相続対策で起きる落とし穴
生命保険を活用した相続税対策は増加傾向です。しかし、名義変更の方法やタイミング、受取人の設定を誤ると、贈与税や想定外の税負担につながることがあります。
また、相続人の状況次第では生命保険の非課税枠が適用できなくなる場合も少なくありません。相続対策で生命保険を活用するなら、専門的な知識を持つプロに相談して設計することが大切です。
生命保険と税金の関係でよくある質問【Q&A】

ここからは、生命保険と税金の関係でよくある質問を5つ紹介します。税金がかかるケースや節税の方法がわかるので、ぜひご自身の加入する生命保険の節税に役立ててください。
Q1:生命保険の死亡保険金は必ず税金がかかりますか?
死亡保険金は必ず税金がかかるわけではありません。
生命保険の死亡保険金は、受取人が法定相続人であれば「相続税」の対象です。しかし、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人)が適用されれば、税負担がゼロ、または大幅に軽減されるケースが大半です。
たとえば、相続人が3人なら1,500万円まで非課税です。現金や預貯金では受けられない優遇制度のため、生命保険は相続対策として非常に有効です。
ただし、法定相続人以外が受け取った場合は非課税枠が使えず、課税額が増える可能性もあるため、受取人の設定には注意しておかなくてはなりません。
Q2:満期保険金や学資保険はどの税金がかかりますか?
満期保険金や学資保険で受け取る生存保険金額には、所得税や住民税がかかります。一時金として受け取った場合、税区分は「一時所得」です。
一時所得には50万円の特別控除が存在し、算出された利益の1/2にしか課税されないという税制上のメリットがあります。そのため、受取額によっては税金が発生しないことも珍しくありません。
満期金の税金を正しく理解しておくと、教育資金や貯蓄計画を立てるうえで無駄な不安を抱かずにすみます。解約返戻金も同じ扱いになるため、受け取る前に一度計算方法を把握しておくと安心です。
Q3:贈与税がかかるのはどんな場合ですか?
贈与税がかかるのは、保険料を支払った人(契約者)と保険金の受取人が異なる場合です。
たとえば、以下のケースや同様のパターンへ安易に名義変更してしまうと、贈与税の対象になってしまいます。
・契約者:夫(保険料の支払い)
・被保険者:夫(保険の対象)
・満期保険金の受取人:妻
贈与税は相続税や所得税よりも税率が高くなる傾向があるため、知らずに受け取ると後悔しやすい税区分のひとつです。生命保険は受取人の指定や名義変更の仕方を誤ると、節税どころか税負担が増える原因になることもあります。
贈与税を避けるためには、死亡保険金なら「契約者=法定相続人」、満期保険金なら「契約者=受取人」の形で設計するのが基本です。
Q4:生命保険料控除は誰でも使えますか?
生命保険料控除は、会社員・公務員・自営業など、所得がある人なら原則だれでも活用できる節税制度です。
年末調整や確定申告で生命保険料控除の証明書を提出すれば、支払った生命保険料の全額または一部が所得控除となり、所得税と住民税の軽減につながります。控除の対象は、死亡保障や医療保障も含まれており、保障目的でも節税効果を得られるのがポイントです。
提出忘れだけで数千円〜数万円損することもあるため、生命保険や医療保険、個人年金保険に加入しているなら必ず活用して欲しい所得控除です。

Q5:名義変更すれば節税になりますか?
損につながる契約形態と気づき、慌てて節税のために名義変更をする人がいます。しかし、名義変更が必ずしも節税につながるとは言えず、実際には逆効果となるケースは少なくありません。
たとえば、長期にわたって加入し続けた保険の満期が近づいたときに名義変更すると、手続きした時点までに支払った保険料は贈与したとみなされます。タイミングによっては、税務調査の対象になりやすく、贈与の申告をしなければ罰則が科せられるリスクがあります。
生命保険は、加入時の契約形態が重要です。加入する段階で、税区分まで含めて検討することが望ましいと言えるでしょう。
いま加入中の生命保険で、税金に対する不安がある場合は、保険商品を販売しない独立系FPなど専門家に相談してみることをおすすめします。
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【まとめ】受取後に後悔をしないためには事前の知識が大切

生命保険における税金の特徴を知らずに受け取ってしまい「本来払わなくてよかった税金まで払う」というケースは、決して珍しいことではありません。
税金の制度は複雑ですが、仕組みを理解するだけで相続税の非課税枠を有効に使えたり、所得税を抑えたり、贈与税のリスクを回避できます。「自分が加入する保険はどうなるのか」を確認せずに受け取りの時期を迎えるのは、家計にとって大きなリスクです。
まずは、加入している生命保険があるなら、契約者・被保険者・受取人の関係を確認してみてください。迷ったときは、専門家に相談し、リスクや不安の種を潰しておくと安心です。
尼崎市にある独立系FP「W&D-WriterーDesign-」では、お客様の状況に合わせた生命保険のアドバイスや受取シミュレーションを実施しています。公的保険アドバイザーとしての知識もあるため、生命保険の見直しアドバイスも可能です。
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